まだまだ月齢の差が大きい1歳児クラス。4月の時点では、まだ歩かずにはいはいの子や歩行がしっかりしてきて走りまわっている子などさまざまな子どもの姿が見られます。ここでは、1歳児クラスを初めて受け持つ保育士さんむけに、1歳児保育での注意点を解説していきます。
1歳児を保育する時の注意点
まずは1歳児の発達特徴から確認していきましょう。
・歩行が安定し、1人歩きができるようになる。
・ボール遊びや音楽に合わせて体を動かすようになる。
・絵本をめくる、物をつまむ、押す、引っ張る、なぐり描きなどさまざまな動作ができるようになる。
・2語文で言葉を話すようになる。
・大人の話すことや絵本に理解を示すようになる。
・何でも自分でやろうとする。
・友達や周囲の人への興味を持つ。
・物を見立てて遊ぶようになる。
月齢や個人差に左右されますが、大まかな発達の目安として頭に入れておくと良いでしょう。
1歳児の発達の特徴から考えられる注意点と対処方法
・0歳児より行動範囲が広がったことで、園生活で転倒するなど怪我をするリスクが大きくなる。
→子どもの様子を見守りながら、必要な時にはすぐにサポートに入れるようにしましょう。ロッカーやテーブルの淵や角などに緩衝材をつけておくと、ぶつかった際に大きな怪我になりにくくなります。歩行が安定していない子どもが歩行を楽しんでいる場合は、万が一転んだ時に硬い玩具にぶつからないように片づけておきましょう。
・体を動かして遊ぶようになったことで、子ども同士の接触からのトラブルが増えてくる。
→子どもが十分に体を動かすことができるスペースを確保しましょう。
・何事も自分でやろうとするが、できなくて癇癪を起こす子がいる。
→自分でやりたいという気持ちを共感して、受け止めましょう。
例:「そうだよね、自分で○○したいよね。」等。子どもは自分の気持ちを理解してくれたことに安心感を抱きます。
・友達とのやり取りが増え、トラブル(けんかやひっかき、噛みつき)が増える。
→1歳児はまだまだ言葉が未発達。自分の気持ちがうまく友達に伝わらないことから、ひっかきや噛みつきという手段にでることもあります。保育者は子どもたちの気持ちを代弁して、双方の橋渡しのような役割をしましょう。
1歳児を預ける保護者が気にしていることとは?
・今日のわが子の園での様子
・楽しく過ごしていたかどうか
・体調の変化はないか
・どんな給食をどのくらい食べたのか
・友達とのトラブルはなかったか
・怪我はなかったか など
上記にあげたほとんどの点を連絡帳等の記入でカバーできているかと思います。ですが、1歳児の子どもはまだまだ言葉の発達途中。保護者は子どもからの断片的な話から園での様子を推察し、いろいろ気になってしまうものです。連絡帳の記入や降園時の保護者の対応は丁寧に行いましょう。特に、怪我をしてしまった時は、その状況や保育士がどのように怪我の処置をしたのかを詳しく丁寧に説明し、誠意を持って謝罪しましょう。
1歳児保育で大切なこと
・子どもたちそれぞれの発達の状況を把握しておくこと
月齢や個人差で発達の状況がそれぞれ異なる1歳児クラスの子どもたち。発達への理解が、そのまま子どもの理解に繋がります。
・子どもの気持ちを共感し、わかりやすい言葉を使って話すこと
なんでも「自分で!」だったり「イヤ!」と言いたがる子どもたち。自己主張ができるようになったことも成長のひとつですが、慣れていないと保育者も対応に困ってしまうかもしれません。そんな時は、子どもの気持ちに共感しましょう。「そうだね、イヤなんだね」と一声かけるだけでも、子どもは自分の気持ちを受け止めてもらえたことに安心します。
・保護者とのコミュニケーション
連絡帳や降園時の保護者対応の大切さは先ほどお伝えしましたが、もうひとつ同じくらい大切なことがあります。それは、保護者の話をよく聞いて共感することです。保護者は子どもと毎日一緒にいる中で、強い自己主張や「イヤイヤ」に困ったり悩んだりしているかもしれません。そのような保護者の育児に抱える不安な気持ちにも、保育者は耳を傾け共感しましょう。園での対応や、園での子どもの姿を伝えるなど、時にはアドバイスをすることで保護者は安心することができます。
まとめ
子どもの気持ちに寄り添い、保育士も成長するつもりで接しよう
月齢や個人差が大きく、いろいろな発達段階の子どもがいる1歳児クラス。気を付けなければ怪我に発展してしまうことも多く、初めて受け持つ保育士さんにとってたいへんなこともたくさんあります。ですが、成長が著しい時期でもあります。子どもの気持ちに寄り添って、あたたかく成長を見守りましょう。