ピアノ、裁縫、運動、料理など様々な特技を持った先生方がいらっしゃいます。保育をする上で、このような人間性はとても重要で、各所で活かされていることと思います。ここでは保育士のイメージと一味違った経歴や特技、資格を持つ保育士さんを紹介し、実際に保育の現場でどういかしているのかも伺います。
インタビューした先生のプロフィール
宮嶋 将(みやじま すすむ)岐阜県土岐市出身
一般社団法人A.I.S代表理事、
一般社団法人せいわグループ 理事、せいわ保育園事務長
2001~2005年 オーストラリアへ留学し、ビジネスマネージメント、ツーリズム修士課程を修了。帰国後、大手アパレル会社でバイヤーとして海外ブランド品の輸入販売を経験。建設業に転職してからは営業から施工のすべての現場業務を経験しました。その後は大手フランチャイズ個別指導学習塾の運営管理や福祉事業の管理業務などの管理職を経て、カフェ、小規模保育園を経営する一般社団法人せいわグループの理事に就任。
爬虫類と触れ合う!? 保育の中での活かし方
宮嶋先生が立ち上げた一般社団法人A.I.Sでは、爬虫類の飼育販売も行っています。中には海外から取り寄せた、希少価値の高いもの。せいわ保育園に併設された施設で飼育を行っているため、保育園の園児は爬虫類と気軽にふれあうことができるのが特徴です。爬虫類とのふれあいを通して子どもたちに、「非認知能力」を身につけてほしいと考えています。
爬虫類と関わることで非認知能力が身につく
―非認知能力とは何でしょうか?
宮嶋さん:「認知能力」とは、IQや学力テストで計測できるもの、「非認知能力」とは、忍耐力・社会性・意欲など、人間の気質や性格的な特徴のようなもの。つまり、「生きる力」と言われるものを表します。
―「生きる力」を育てるために意識していることはありますか?
宮嶋さん: 自然の中で戯れ、動物と触れ合うことで意欲や忍耐強さや創造性を育みたいと考えています。
―では、爬虫類に触れることでどのように育まれていくのでしょうか?
宮嶋さん:3歳までの間に、認識や人格は形成されると言われています。
例えば、爬虫類を怖いと思っている親の家庭に生まれた子は、必ずといって良いほど爬虫類を怖がるようになります。それは、親の爬虫類は怖いという思い込みが、そのまま受け継がれてしまうからです。つまり、親の言動が子どもの興味関心をつんでしまう要因になるのです。そこで、小さい頃から保育園で爬虫類と接する機会を与えることによって、その思い込みを払拭することに繋がります。爬虫類と関わるということを通して子どもの興味関心の芽を育て、様々な経験の中で自分の好きなものを自分で見つけられるようにしていくことを目標としています。
―実際に園児はどのように触れ合っているのでしょうか?
宮嶋さん:保育園に併設された施設で管理をしているので、保育の一環として園児が気軽に爬虫類と触れ合うことができます。見たことのない爬虫類に子どもたちは興味津々。触り方や特性を知らせながら、自分で触れられるようにします。もちろん無理強いはせず、子どもの興味関心に合わせた対応を心がけています。今では自分の身体より大きな蛇を怖がることなく触ったり、小さなヤモリは怖がらせたり傷つけてしまわないように身体の下からそっと触るなど、すでにそれぞれの動物に適したふれあい方を体得しつつあります。
それらは普段の遊びの中にも影響し、園庭にいたカエルを傷つけないように捕まえたり、捕まえたバッタを「トカゲさんにあげたい」と訴えたり、粘土遊びでは指示をされなくても「ヘビさんを作る」「トカゲさんを作る」と自ら目標設定をして取り組むなど、すでに子どもたちの非認知能力の成長が垣間見えます。
【現在飼育している生き物】
哺乳類:ハムスター
爬虫類:ヒョウモントカゲモドキ、サバンナモニター、エリマキトカゲ、スパイニーカメレオン、ボールパイソン、アオダイショウ、シロマダラヘビ、ニホントカゲ、ニホンヤモリ…など
両生類:ヤエヤマアオガエル、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエル…など
熱帯魚:ネオンテトラ、アフリカンクリッド、ドワーフグラミー、レインボーシャーク、ダイ、メダカ、金魚…など
昆虫、その他:オオクワガタ、ザリガニ、サワガニ…など
おわりに
多方面で活躍をされている先生ですが、今回は爬虫類の飼育についてピックアップしました。趣味である爬虫類の飼育が子どもたちの成長に繋がっていることに、改めて保育士や周りの大人の影響力や人間性の重要性を感じました。
また、非認知能力という言葉はあまり耳にすることが少ないと思いますが、今後の教育や子どもたちの成長の過程において大切なものであると感じました。学力テストやIQなどももちろん大切ですが、それ以外に人間として大切なものの根本が非認知能力には秘められているようです。子どもには無限の可能性があります。大人の役割は、選択することではなく環境を用意することです。先生が行われているように、たくさんの物を見て経験した中から、自分の好きなものを見つけ、それに向かって進んで取り組んでいけるような子どもがますます増えたらいいなと思いました。
取材した保育園
【せいわ保育園】
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