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現役保育士さんにインタビュー!同じ保育士さんに読んでほしい絵本(26歳女性・Mさん)

更新日:2019年12月17日

保育士さんにとっては欠かせない、子どもたちに読み聞かせをする絵本。職業柄、保育士さんは他の職業の人よりも絵本に詳しい人がたくさん。読み聞かせ用の絵本だったり、年齢別で子どもに読んでほしい絵本をよく知っていたりします。

今回は、そんな子どもに読み聞かせをする絵本の紹介ではなく、同じ保育士として、保育士さんに読んでほしい絵本を、現役保育士さんにインタビュー。日々子どもと接する保育士さんならではの悩みや、子どもとの関わり方のヒントになるような絵本をインタビューしてみました。

今回は保育士歴5年目、大阪在住の現役保育士のMさん(26歳・女性)に、保育士さんに読んでほしい絵本を聞いてみました!

 

「ぼちぼちいこか」(偕成社)

現役保育士のMさんが最初に教えてくれたのが、マイク・セイラー作、ロバート・グロスマンが絵の「ぼちぼちいこか」という絵本。おっとりしたなんともいえない可愛さをもつカバが表紙を飾っています。

 

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―関西弁のタイトルと、このなんともいえないカバの絵がとてもギャップですね(笑)こちら、どういったストーリーの絵本なんですか?

Mさん:そうなんです(笑)中身も最初は「ぼく、しょうぼうしになれるやろか。」から始まってずうっと関西弁で、このへんてこなカバが主人公なんです。そして次のページでは、はしごから落ちる絵で「なれへんかったわ。」と一言。そのまた次のページでは「ふなのりは、どうやろか。」と続くんですが、これまた船から落っこちて「どうもこうもあらへん。」と(笑)そこからパイロット、バレリーナ、ピアニスト、とびこみの選手など続いていくんですが……分かりますよね(笑)

「どないしたらええんやろ。」と悩むんですが、最後そのカバはアイデアが思いつくまで寝ようとするんです。そして最後に「ま、ぼちぼちいこか。」と。30Pくらいしかないし、1ページに1行くらいのとてもシンプルな絵本なんですけど、なんだかとっても好きな絵本です。

 

―ところどころ出てくる関西弁とカバの表情が笑いを誘う絵本ですね(笑)どうしてこの絵本を選んだのでしょうか?

Mさん:小さい頃からずっと読んでいたんですけど、全然意味が分からなかったんですね。でもなぜか印象に残っている絵本で。それを、保育士になって大人になったタイミングで、保育園で読んだんです。そしたら、子どもたちに読み聞かせをしながら私が泣いちゃって…。

 

―え、そうなんですね! どうしたんでしょう!?

Mさん:保育士になって1年目の時期でもあったし、やっぱり人間相手の職業でもありますから、思い通りにいかなかったりとか、うまくいくことの方が少ないんです。また、命を預かる職業でもあるので、プレッシャーや緊張感もありました。

でも、この絵本の主人公のカバの姿を見て、とても安心したというか。絵本に出てくるカバは、何をやってもダメなんですよ。でもめげることなく、マイペースにどんどん挑戦していく。結局なにをやってもうまいこといかなかったけど、最後には「ぼちぼちいこか」と一言。保育士も、うまくいかないこともたくさんあるけど、焦らず緊張せず、「ぼちぼちいこか」でいいんだなって。肩の力が抜けて、素直に子どもと向き合えるようになったキッカケでした。

 

「きょだいな きょだいな」(福音館書店)

Mさん:そうですね〜、もう1冊あげるとすれば、私は「きょだいな きょだいな」かなあ。これもまたシンプルというか、いい意味でメッセージがあまりないような絵本なんですよ。

「あったとさ、あったとさ。広い野っぱら、どまんなか、巨大なピアノがあったとさ。」というリズミカルな感じで始まって、子供がたくさんやってきてピアノの上で鬼ごっこをしたり、巨大な電話やトイレットペーパーがあって、それらで子供が遊ぶんですけど電話は実は地獄につながっていて……そんなおもしろおかしい物語なんです。

 

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―奇想天外な物語ですね!個人的には、読み聞かせにおすすめの本だな〜と思ったのですが、どうして保育士さんに読んでほしい本なんですか?

Mさん:リズミカルな文章なので、読んでいて楽しいんです。だからひとりでも読んでみてほしいし、子どもたちに読み聞かせをしてほしい。「あったとさ、あったとさ。」ってリズミカルな文章で面白い展開が続いて、子どもたちはよく笑ったり楽しんでくれるんです。

やっぱり、笑顔になるって大切だと思うんですよ。笑顔でいられる余裕って意味でも大事だし、やっぱり笑いながら仕事がしたいし、して欲しい。人と接する職業ですからなおさらです。

 

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想いが詰まる、保育士が保育士にオススメする絵本

子どもの読み聞かせや仕事でオススメの絵本ではなく、同じ保育士さんからオススメされる絵本の紹介、いかがでしたでしょうか??

今回インタビューして気付いたのは、紹介してくださる絵本のひとつひとつに、保育士としての想いが詰まっています。それもすべて、子どもと接する、ひとりの人間と接することの難しさ、大切さ、また面白さからくる想いですね。

いつも読む読み聞かせ用の絵本だけでなく、保育士さんならではの悩みや想いを分かってくれる同じ保育士さんからのエールのような絵本を、ぜひこの機会に手に取ってみては?

最後に、インタビューを受けてくださったMさん、本当にありがとうございました!