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男性保育士の実情とは?需要が高まる理由と男性ならではのメリット

更新日:2018年10月30日

保育士=女性の印象がなかなか拭えない昨今ですが、男性保育士の数は年々増加しています。それでも保育士全体で見ると女性よりも男性のほうが圧倒的に少なく、女性との比率はおよそ3:7。保育士資格を持ちながら他職に勤務する「潜在保育士」も視野に入れると差は縮まると言われていますが、それだけ男性にとっては勤続しにくい職業なのかもしれません。
では、男性が保育士として勤務するうえでの悩みにはどんなものがあるのでしょうか。離職に繋がりやすい待遇面での問題点や女性の多い職場ならではの需要など、男性保育士の実情をご紹介します。

職場や待遇面での悩み

かつて「保母さん」と呼ばれていた保育士として勤める男性は、女性保育士にはない悩みを抱えています。職種に関わらず職場での悩みというのは少なからず存在しますが、男性保育士特有の悩みは想像以上に深刻です。

・給与面での待遇に悩む

男性が保育士として勤務するうえでの悩みは、やはり給与面での待遇がもっとも大きいといえます。平成29年度、厚生労働省が調査した賃金構造基本統計調査結果によると、男性の全職種現金給与額は335.5千円、勤続年数は13.5年という結果です。対して、男性保育士に関しては給与額254.1千円、勤続年数は6.4年となっています。(※1
数字を見ても明らかですが、給与は平均と比べても約10万円の差があるのです。そして連続勤務日数は平均の半分以下なので、やはり男性保育士の離職率は高いといえるでしょう。
全国的にも知られている通り、保育士は男女ともに給与が低いと言われています。これを理由に離職する女性保育士も多く、男性にとってはさらに深刻な問題となっているのです。

・保護者との関わりが難しい

子どもの命を預かっている以上、保護者は保育士の対応に敏感です。母親と女性保育士、同性間でのやり取りならスムーズにいくことも、「男性だから」という理由だけで遠慮してしまうことも。
例えば、よく言われるケースとして「女子園児の着替え・おむつ交換はしないでほしい」というものがあります。あくまで保育のプロとして携わる行為ですが、不快に感じてしまう保護者も一定数存在するのです。また、モンスターペアレントと言われるような保護者からのクレーム対応も、女性より男性保育士のほうが苦手意識を持ちやすいと言えます。
女性は感情的になる場合が多く、男性はこれに対してどのような態度で接するのが正解なのか戸惑ってしまうでしょう。クレーム対応は女性保育士にとっても大きな壁ですが、経験を重ねて慣れることで大きなトラブルに発展するのを防ぐことができるようになります。

・女性に囲まれる居づらさ

まだまだ女性が多い保育士業界では、職場内の女性特有の雰囲気など、男性が少ないことから感じる居づらさに悩まされる人も少なくありません。とくに職員のなかで男性保育士が1人だけ、という状況になると、慣れるまでに時間がかかる場合もあるでしょう。
また、男女別の更衣スペースを設けていない保育園もあり、「女性保育士が着替えるときはいったん退室」「男性保育士はトイレで着替え」などの対応をしなければならない場合もあります。
しかし近年は男性保育士の数が増加しているため、このような問題は減少しつつあるとも言われています。多様性を認める社会の動きも相まって、これからさらに性別に関係なく働きやすい職場づくりが発展していくでしょう。

女性保育士にはない安心感やメリットも!

女性よりも働きづらさを感じやすい男性保育士ですが、もちろんメリットもたくさんあります。女性保育士とは違った男性特有の安心感が得られることもあり、とくに男子園児と関わる場面でメリットを感じることが多いでしょう。

・力仕事を任せやすい

保育士の仕事は当然子どものお世話が基本業務になりますが、重たい荷物を運ぶような機会も多いです。そんなとき、1人でも男性保育士がいると任せやすいのは言うまでもありません。男性保育士には力仕事を担当してもらい、女性保育士は別の業務で男性をカバーするという役割分担も気楽にできるでしょう。
重たい荷物以外でも、園児と遊ぶときに体力や筋肉が必要になることがあります。活発で元気な園児は、大人のように手加減しながら遊ぶことはほとんどありません。いわゆる「プロレスごっこ」などで体当たりされると、大人でも少しよろけてしまうこともあるでしょう。
そんなときに男性保育士が相手をすることで、女性よりも確実にしっかりと受け止めることができます。行為によっては、園児も男性保育士が相手してくれることで安心して遊びに没頭できるでしょう。

・男児のトイレ同行

遠足など保育園外での活動時には、トイレ休憩が必要です。園児のトイレには保育士が同行することになりますが、園児のためとはいえ女性保育士が男性用トイレに入るのは賢明とは言えません。多くの場合は男子園児も女性用トイレに入ることになりますが、ここに男性保育士がいることで男女別に分かれることができます。
また、トイレトレーニングに慣れていない女性保育士にとっては、男児への対応方法が分からないことも多いでしょう。男性保育士であればトレーニングもしやすいですし、経験が浅くても同性同士気持ちを分かってあげやすいのです。

おわりに

男性保育士の仕事では困難なことも多いですが、保育士の需要は性別に関係なく高まっています。これからさらに必要とされる職業なので、待遇面の改善もじゅうぶんに考えられるでしょう。少数派であることに不安を感じることなく、自信を持って保育に関わっていきましょう。