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【食事マナー】 子どもや保護者への伝え方

更新日:2019年1月16日

保育士の立場からみると気になる食事マナーも、比較する子どもが少ない保護者の方にとってはどうやって、どこまでの躾をしたらいいか悩んでる方も多いと思います。そこで、保育士経験のある筆者が、スプーンから箸への移行タイミングや保護者への伝え方、遊び食べの対応法など詳しく解説します。

食事マナーで気をつけたいこと

食事マナーを子どもに教えるときには注意が必要です。食事中にマナーのことを厳しく言われ続けると「楽しい食事の場」が「注意される場」になってしまい、食べることへの意欲がなくなってしまうことも考えられます。「楽しい雰囲気の中で食べる」ことが第一。
しかしマナーは自然には身につきにくいので、やはりどこかのタイミングで教えるのが親、そして大人の役割だとおもいます。その線引きがとても難しいのですが、楽しく食べながら同時にマナーが身に付く方法を紹介します。

【食べ物の好き嫌い】苦手なものも食卓には並べる
保育士をやっていたら避けられない「好き嫌い」問題。断定できるような解決策がこればかりはないと筆者は思っています。「いいから食べて」なんて言っても子どもは食べてくれないし、「じゃあ食べなくていいよ」なんてわけにもいかない。「嫌いなものも全部食べなさい」これはあまりにも酷でしょう。無理強いもしたくないですし…。
新任の時は本当に困りました。「どうしたものか…。」 しかし、先輩保育士のアドバイスをもらい場数を踏んでいる間に今ではほとんど困らなくなりました。それが正解かは分からないですが、試す価値はあると思った声がけを紹介します。

1.「どれなら食べられそう?」(4つくらいに分け大きさを全部不揃いにしておく)
2.食べてもいないのに「〇〇ちゃんってスゴい!さすがだね!」
3.「〇〇君ってすごい!!モリモリ食べられちゃうんだね(本児の横で他児を褒める)」
4.「この一口でおしまいにしよう!(一口ルール)」
5.「エルサ(その子の憧れる人)になる人は食べられるとおもうよ~!」
6.嫌いな食べ物が、野菜などの育てることが可能なものは、あえて一緒に育ててみる
7.「先生もらっちゃおっかな~」と物欲し気に皿を見つめる
8.「あ、キノコさんが泣いてるよ!」

無理強いまでして食べる必要はないですし、あまりに子どもが嫌がっていたら一口、一舐め、食べない、それでもよしとしています。ここで気をつけたいことは大人の自己満足にならないこと。ケースバイケースですね。子どもの表情を見ながら引くこと、押すことも大切です。
「食べられなかったら叱る」のではなく「食べられたら大いに褒め」自信に繋げてあげましょう。「褒められる」ことは子どもにとって一番の勲章。ハイタッチや抱きしめてあげるのも効果的です。

【お皿を持って肘をつかない】
基本的なマナーですが、初めて子どもを育てる親にとっては見逃してしまう…いや…見逃さざるを得ないなんて保護者も中にはいるかもしれません。働きながら、子育てをしながら夕飯時の忙しい時間帯を過ごしていたら余裕もありませんよね。だからってそれをOKとは言えないのが本音です。
ここで筆者が子どもに対してとる行動は卑屈と思う方もいるかもしれませんが、あえてお皿を持たず、肘をついて食べ「先生かっこいいでしょ?」なんて言うようにしています。それか更に卑屈に聞こえるかもしれませんが「〇〇ちゃんちってそうやってたべるんだぁ(驚いた顔)」次の瞬間、サッとお皿を持ったり肘をつくのをやめたりする子の姿が多いです。
「もって」「やらないで」と何度も言うより効果的なので自分で気づけるような投げかけをしてみましょう。 クラスに何人かいるようであればおたよりに、「今お皿を持って食べることをがんばっています」「お家での食べる姿勢はどうですか?」「お家でも気にかけていただけると嬉しいです」など、タイトルのおたよりを配布するのも一つの手です。
特別気になるご家庭には、園での姿を伝えた上で連絡帳や送迎時に「お家ではどうですか?」と、聞いてみるのも良いかもしれません。もしかしたらそこで初めて気付いて、頑張ってくれる保護者の方もいるかも。
よく考えればわかることも忙しいと抜けてしまう…誰だってこういう経験があると思います。保護者は自分ではありません。当たり前のことを当たり前だと思わずに保護者の立場になって考えてあげることも大切かもしれませんね。

【足と床は仲良しに】
たまに足がブーランブーラン。…あ、靴まで脱ぎはじめた。あ、更に膝をたてたぞ。なんて子どもは実は少なくないんです。そんな時は「足と床が仲良しになってる?」と子どもに聞いてみましょう。
それでも足がブーランブーラン、何度も言うのは子どもだってこちらだって嫌ですよね。言葉にしなくても伝わります。足や肩をトントンっと叩き目線を送るのも一つの方法です。踏台を用意してあげるのもおすすめです。

【お腹と机も仲良し】
「いただきます!」をする前に筆者が必ず子ども達に聞く言葉。「用意はいいですか?お腹と机は仲良しですか?」すると「仲良しです!」と元気の良い返事が返ってきます。
おや?あの子は本当に仲良し…?中にはそんな子もいます。「本当に仲良しですか?」(笑)「(あ…やばい…俺のこといってる…)サッ。」子どもは気付けます。グーサインを送ったり〇を送ってあげると次の励みになるかもしれませんよ。お腹と机の距離で食べこぼし防止にも繋がります。

【挨拶】「いただきます」と「ごちそうさまでした」
「いただきます!」は割と聞きますが「ごちそうさまでした」はなかなか声に出して言えない子ども達も多い気がします。保育士や親が言っているところをみて食事時の習慣になるといいですね。食べ終わりには「もうご馳走様?」と投げかけてみるといいと思います。

【遊び食べや食べ歩き】
・遊び食べや食べ歩きをする前に約束
まずはしていいこと、そうでないことを明確にしてあげることが大切です。子どもが話を聞ける環境を作り、約束事をもう一度確認し未然に防ぎましょう。

・区切りをつける
何回か注意しても繰り返すようであれば頃合いを見て食事を中止してみるのも一つの手です。座っている時は食べる、立つならお終いです。出歩いているときに追って口に入れてあげるのは望ましくありません。
座ってなくてもご飯がもらえた!と子どもの中で変換してしまう可能性があるからです。落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しみたいですね♪ 遊び食べをしている子に対しては、「遊んでいるところ先生にも見せて(ニコ)」なんて言うとサッと遊びをやめられる子も多いような気がします

【スプーンから箸への移行タイミング】
年齢に合わせる必要はありません。子どもの成長に合わせてあげるのがベストです。
スプーンの上握り→逆手持ち→鉛筆持ち→箸 の順番がいいと言われています。
まずはスプーンのプロになることから始めてみましょう!箸もそうですがスプーンは手首の動きや指先の動きが重要になってきます。関節が上手く回らないと口に運ぶ前に落ちてしまうからです。移行の相談を保護者から持ちかけられた時やこちらから提案したい時に、よく筆者がオススメしているのは"泡立て器"で遊ぶこと。お風呂や戸外遊びの際などに石鹸で泡を作ってかき混ぜたりすることで手首周りが刺激されます。
指先を鍛えるなら、絵画や、シール貼り、ボタン留めが効果的ですよ。鉛筆持ちができたタイミングで箸に移行するといいと思います。エジソン箸は子どもの興味や導入としてはいいかもしれませんが筆者はあまりオススメしていません。出来れば箸かスプーンの使用を促していきましょう!

おわりに

◎食事マナーの基盤を作ろう!
どうでしたか?子どもが大きくなるにつれて、家族以外の人と食事をとることが増えてきます。保育園と家庭とで連携をとりマナーを習慣化させていきたいですね。

保護者の方が悩んでいたら、否定はせず一番の味方になり導いていってあげましょう。初めはあれもこれもで大変ですが習慣化さえしてしまえば本人も保護者も自分も楽なので一つずつ丁寧に見ていけるといいですね。